近視進行を抑える「アトロピン点眼」の基本と濃度の選び方【前編】

お子様の近視が進むのを心配されている親御様へ、当院がすべての近視治療の基本としておすすめしている低濃度アトロピン点眼治療について分かりやすく解説します!

今回は前編として、「アトロピン点眼ってどんな治療?」という基本から、最新研究で分かった「3つの濃度」の効果の違い、そして多くの方に選ばれている「当院調剤(院内製剤)の目薬」の魅力についてご紹介します。


目次

そもそも「アトロピン点眼」ってどんな治療?

”アトロピン”とは、実はもともとベラドンナ(図1)というナス科の植物の毒に由来する成分です 。 毒と聞くと驚かれるかもしれませんが、筋肉を強制的にリラックスさせる(脱力させる)効果があり、古くからパーキンソン病などの治療薬として医療の現場で安全に使われてきました 。

このアトロピンが、2010年頃からこどもの近視治療にも活用されるようになりました 。

近視の進行を抑える仕組み

私たちは近くを見る時、目のピントを合わせるために筋肉を一生懸命働かせています。実は、この「近くをじっと見続けること」こそが、近視を進行させる大きな要因(リスクファクター)なのです。

アトロピン点眼は、この目のピント調節筋肉を一時的にリラックス(脱力)させ、強制的に「ずっと遠くを見ているような状態」を作り出します。他にも所説あるのですが、この作用により近視が進むのをしっかりとブロックしてくれると言われております。

治療方法はとてもシンプルで、1日1回、夕方~寝る前にお子様の両目に点眼するだけです。


【重要】知っておきたい「3つの濃度」と最新データ

アトロピン点眼治療には、大きく分けて「0.01%」「0.025%」「0.05%」という3つの濃度が存在します。濃ければ濃いほど治療効果が高いです。

「それなら、一番濃いものを使えばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、薬には必ず「副作用」があります。アトロピンの濃度が濃くなると、「まぶしさを感じる」「近くの文字が少し見えにくくなる」といった副作用が出やすくなるため、お子様ごとに無理なく続けられる濃度を個々人で調整していく必要があります。

この3つの濃度に関する最新の研究データが以下になります。

1. 0.01% 濃度(効果:約10%〜20%抑制)

  • 従来の認識: 2012年頃は「近視の進行を60%もカットできる」と期待されていました。
  • 既製品  :マイオピン0.01%
  • 最新データ: 研究の規模(人数)を拡大して検証し直したところ、実際の効果は10%〜20%の抑制にとどまることが判明しました。

このように「より詳細な研究を進めた結果、初期のデータと異なる結果が出る」ということは、医学の世界ではよくあることです(例:糖尿病の血糖値管理に関する大規模調査など)。

2. 0.025% 濃度(効果:約30%〜40%抑制)

  • 最新データ: 近視の進行を約3分の1カット(30%〜40%抑制)する効果があります。
  • 既製品  :リジュセアミニ0.025%
  • 参天製薬による大規模な臨床研究(オレンジスタディ:2019年〜2023年)において、日本人のお子様を対象に、2年間で32%〜38%の近視抑制効果があることが正式に実証されている、極めて信頼性の高い濃度です。

3. 0.05% 濃度(効果:約50%〜60%抑制)

  • 最新データ: 近視の進行を半分近く(50%〜60%抑制)カットするという、非常に高い効果を誇ります。
  • 既製品  :マイアトロ0.05%
  • その高い有効性から、現在、諸外国では、この0.05%濃度が第一選択となっています。

なぜ「当院調剤」のアトロピン目薬が選ばれるのか?

当院では、製薬会社が製造している既製品(参天製薬のリジュセアミニなど)の処方に加えて、「当院調剤(院内製剤)のアトロピン目薬」もご用意しています。

この「当院調剤」をお選びいただくご家庭が非常に多いのには、明確な理由があります。

疑問:既製品と「当院調剤」で効果に違いはあるの?

親御様からよく「高い既製品と、病院で作るお薬では、効果に差があるのですか?」というご質問をいただきます。結論からお伝えすると、「治療効果はまったく同じ」です。

有効成分であるアトロピンの「濃度(量)」が同じであれば、効果に差が出る理由がありません。
院長はこれをよく「お米」に例えて説明しています。

ブランド米である「あきたこまち」1kgと、「地元の個人農家さんが作ったお米」1kgを比べてみましょう。 パッケージやお値段は違っても、お米1㎏ぶんお腹いっぱいになるという効果は全く同じなわけです。個人農家のお米は全くお腹いっぱいにならないなんてことは考えにくいです。

参天製薬さんが調剤して名づけた「リジュセアミニ」というアトロピン0.025%点眼液と、当院で調剤されたアトロピン0.025%点眼液で有効成分の量が同じですから、効果が異なる理由がありません。
 ※当院youtube動画より要約

アトロピンは「成分」そのものですので、お米以上に品質の良し悪しという概念がなく、「当院が調剤したものだから効き目が薄い」ということは非常に考えづらいことです。

当院調剤が選ばれるメリット

  1. 圧倒的に経済的(続けやすい価格) 既製品(リジュセアミニなど)は、製薬会社による臨床データという「国のお墨付き(安心感)」がある分、どうしてもお値段が高くなります(例:1本あたり4,380円など)。 一方で当院調剤の目薬は、1%のアトロピン原液を院長(調剤資格保持者)がそれぞれの濃度に適切に希釈してお渡しするため、最も費用を安く抑えて治療を継続することができます

  2. 安心の院内調剤プロセス 院内調剤は、当院のみが勝手に行っているわけではなく、多くの眼科クリニックにおいて信頼性の高い手順のもとで広く行われています。当院では徹底した管理のもと、お子様の目の安全を第一に考えて調剤しておりますので、安心してご使用いただけます。

「効果は同じなら、できるだけ費用を抑えて長く続けたい」というご家庭にとって、当院調剤の目薬は非常に心強い選択肢となっています。


前編はここまでです! アトロピン点眼の仕組みや濃度の違い、そして当院調剤のメリットについてお分かりいただけたでしょうか?

後編では、「うちの子、本当に目薬効いてるのかな…?」と不安に感じている親御様へ向けた、2024年の最新知見「急速進行児(効果が出づらい子)」のお話と、年齢が若いお子様ほど高濃度(0.05%)がおすすめな理由について詳しくお話しします。ぜひ続けてご覧ください!

(※この記事は、当院の藤井院長がYouTube動画「低濃度アトロピン点眼のすべて」で解説した、最新の医学的エビデンスに基づいて作成されています。)

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